Oculus Riftは2016年3月に発売されてから何度か値下げされてきましたが、今回とうとう定価が45000円となり、PC用VRとしては非常にお買い得感が高くなりました。
そこで今回は実際にOculus Riftを購入し各レースゲームでの使い勝手や、モニターと比較をして見え方にどのような違いがあるかをレビューしてみましたので、今からVRレースゲームの購入を検討されている方の参考になれればと思います♪
Oculus Riftのパッケージ内容
今回購入しましたOculus Rift cv1は公式販売が開始されたAmazonで国内正規品を購入しました。
パッケージ内容はOculus Riftヘッドセット本体、ハンドコントローラOculus Touch×2、トラッキングセンサOculusセンサー×2、各ケーブル類となっており、追加オプション品を購入せずともそのままPCVRが楽しめる内容となっている。
Oculus Riftヘッドセット
Oculus Riftヘッドセット本体は重量が440gとライバル機であるHTC VIVE(620g)やPSVR(610g)と比較して軽く、被った感じも少しだけ重心が前かなと感じる程度で長時間VRをプレイする上で一番疲れにくいヘッドセットかと思います。
またVRで懸念されがちなケーブルもoculus Riftは本体からPCへ繋がるケーブル1本だけで(PC側はUSB3.0へ1箇所、HDMIへ1箇所接続が必要)、VR映像、音声、マイク出力が可能なので、今まで有線ヘッドセットを使っていた私からしたらケーブルがかさばって邪魔という印象はなかったです。
ハンドコントローラOculus Touch
レースゲームをプレイする上ではあまり活躍する場面が無いのですが、それ以外ではこれは本当に使いやすく、よく考えられたコントローラーだと思います。
握ると親指、人差し指、中指で自然に各ボタンを押せますし、しかもHTC VIVEやPSVRのコントローラーよりコンパクトなので使い勝手も良いですね。
あとバッテリーが充電式ではなく電池式なのも良いですね、充電式は便利そうで実は面倒だと思います。いざプレイしようとした時に充電切れではハンドコントローラという性質上、充電しながら使うというのはあまりにもスマートではないと思います。
トラッキングセンサOculusセンサー
oculus Riftには2つのトラッキングセンサが標準で付属されています。
公式サイトでは完全な360度トラッキングには後方に3台目の追加が推奨されていますが、私はモニターの左右に設置しているだけですが、それだけでも問題無く360度トラッキング出来ています。
特にレースゲームの場合プレイ中はハンコンの前から移動する事は無いので、レースゲームをメインに考えている方は追加購入する必要は無いと思います。これだけで左右はもちろん後部座席へ振り向いても十分動作します。
Oculus Riftの初期セットアップでつまずいた事
私の環境の場合Oculus Riftの初期セットアップでかなりつまずきました。ちなみに購入してプレイできるようになるまで1週間程かかってます。
その原因は今まで使っていたモニターの映像入力端子が、HDMIとVGAしか対応してなかったからです。
私のグラフィックボード1080tiは出力端子にDisplayPortが3つと、HDMIが1つとなっているのですが、すでに1080ti側のHDMIにはOculus Riftがささっており、映像を出力するにはDisplayPort対応のモニターが必要だと言う事に購入後気が付きました。
一応DisplayPortをHDMIへ変換するアダプターを使う事で解決されている方もいるようですが、私の場合Oculus Riftに音声は出力されるのですが、映像がうまく認識されませんでした。グラボやモニターとの相性もあるのかもしれませんね。
そこで最終的に解決した方法がDisplayPort対応のゲーミングモニターを素直に買う!でした。
そうするとすんなり認識。想定外の出費ですがここまで来て諦める訳にもいかないので仕方ありませんね。
ちなみに購入したモニターはiiyama製のゲーミングモニター「G2730HSU-B1」で、DisplayPort、HDMI、D-Subの3系統入力対応、応答速度1ms、フルHD27インチで2万円前半と同性能のモニターの中ではなかなかお値打ちなモニターでした。
私のようにPS4などの家庭用ゲーム機からPCへ乗り換えた方は、この様な仕様のモニターを使われている方が多いと思います。Oculus Riftに限らずPCVRではノイズに強く延長しやすいDisplayPortが採用されている事が多いので、これからPCVRを検討されている方は注意が必要ですね。
Oculus Riftで各レースゲームをプレイしてみる
今回Oculus Riftで試したVRレースゲームは「Assetto Corsa」「Assetto Corsa Competizione」「Dirt Rally」「Project CARS」の4タイトル。
プレイ環境はグラフィックカードにNVIDIA GeForce GTX1080Ti、ハンコンとシフトはThrustmasterのt300RSとTH8Aという環境でプレイしてみました。
ちなみに現在Steam VRではグラフィックボードの性能に合わせ自動でスーパーサンプリング(実際に表示される解像度よりも高い解像度でレンダリングを行う事)が行われる仕様となっており、GTX1080tiの場合Oculus Riftの片目あたり1080×1200に対し、1878×2240という解像度で出力されている。
確かにスーパーサンプリングの恩恵を受ける事で多少グラフィックが鮮明に映るように見えるのだが、その分グラボには大きな負担となり設定によってはOculus Riftのリフレッシュレート90Hzを下回り安定しなかった為、今回はSteam VR側ではなくOculus Home側でプレイした際の操作性やグラフィックについてレビューしてみたいと思います♪
Assetto Corsa
初めに試したレースゲームはAssetto Corsaです。PS4版Assetto CorsaはVR非対応だったので、今回非常に楽しみにしていたタイトルでもあります。
プレイした感想は全てのタイトルに言える事ですが、VRでプレイする事で映像が立体的に見え、遠近感やコースの高低差が把握しやすく、またコックピットに乗って運転しているという没入感にはやはり驚きます。たぶん初めてVRをプレイされる方は誰もが感じる第一印象だと思います。
Oculus Riftでのプレイ方法だが、「オプション」→「ビデオ」→「レンダリングモード」を「Oculus Rift」に設定する事でレース時は自動でOculus Homeが立ち上がり(Open VRを選ぶとSteam VRが起動)Oculus Riftへ映像が出力されます。
またメニュー画面はVRに対応していない為、Steam VRでプレイしている場合はレース終了後のメインメニューはモニター側での操作となるが、Oculus Homeの場合バーチャルデスクトップを使うことでメニュー画面もOculus Riftに映せるので、いちいちOculus Riftを付け外しする手間がなく使い勝手はかなり良くなる。
グラフィックに関しては近景は良いのですが、遠景が解像度不足によりややぼやけて見えます。
特にサーキットではブレーキングポイントを見極めるために遠景を見る機会も多いので、フルHDモニターのグラフィックと比較すると見づらく感じると思います。
ただコースを覚え、ブレーキングポイントもある程度把握しておけばプレイ出来ない程ではないです。参考までにプレイ動画も撮影してみましたので宜しければ見てくださいね♪
Assetto Corsa Competizione
Assetto Corsa Competizioneの場合は起動すると以下のポップアップが表示される。
今回は安定した動作を優先するため「Assetto Corsa Competizione Oculus VR mode」を選択してプレイしてみました。
VRに完全対応している今作ではレース中だけでなくメニュー画面もOculus Rift側に表示され、それに伴って文字サイズやメニュー画面もAssetto Corsaより見やすく、VRでプレイするには使いやすいUIとなっている。
グラフィックに関しても前作のAssetto Corsaと比較すると解像度が上がっているようで、全体的にシャープになり標識や遠景も多少認識しやすく走りやすい印象を受けました。
【Assetto Corsa Competizione】
【Assetto Corsa】
【拡大画像】
いまいち画像では伝わりにくいかもしれませんが、実際にプレイしてみるとコースの見やすさなど確かに違いを感じる事が出来ると思います。
また前作のAssetto Corsaはすでに開発が終了しており今後のアップデートは期待できませんが、Assetto Corsa Competizioneはこれからアップデートを重ねる事でさらなる高品質なVR体験にも期待したいですね♪
※2019年5月29日よりAssetto Corsa Competizioneが正式リリースとなりました。VR設定など記事にしてみましたので、宜しければこちらもみて下さいね♪
DiRT Rally
DiRT Rallyは以前PSVRでもプレイしていましたが、今回はSteam版での見え方やグラフィックについてご紹介します。
Oculus Riftでの始め方ですが、Oculus Riftが接続されている状態で起動すると自動でOculus Homeが立ち上がり、特に設定変更することなくプレイが出来ました。ちなみにモニターでのプレイに戻したい場合は、Oculus RiftをPCから外した状態で起動するとモニターのみに映像が出力されます。
ゲームの見え方ですが、Assetto Corsa Competizione同様こちらも完全にVR対応となっており、メニュー操作やレース中もOculus Rift側に表示されるので、Oculus Riftを被ったままプレイが可能です。さらにハンコンのボタンですべての操作が完結するので、マウスを使い必要も無く非常に操作性も良い。
グラフィックに関してはPSVRの片目あたり960×1080から、Oculus Riftの1080×1200に解像度が上がっている事で若干グラフィックも向上しているが、正直レース中に違いが分かる程の大幅な違いは感じませんでした。
ただダートコースの場合サーキットとは違い遠景を見る場面が少ないので、コース先がぼやけて走りにくいという事はなく、むしろスピード感や遠近感が把握しやすいVRの方が走りやすく感じ、実際モニターで走っている時より崖に落ちる頻度が減ったように感じます♪
またDirt Rally走り続けていくうちに感じた事が、PSVR版よりVR酔いしない様に感じました。これはただ単に私がVRに慣れたからかもしれませんが、PSVRではリプロジェクションというフレームを補間する技術が使われていた事を考えると、常時安定した90Hzのリフレッシュレートが酔いにくさに影響しているのかもしれませんね。
Dirt Rallyについては以前もいくつかレビューしていますので、よろしければこちらも参考にしてみてください。
Project CARS
最後に紹介するProject CARSですが、こちらはSteam製品版を所有していないので、「Project CARS-Pagani Edition」という無料でプレイ出来るソフトで試してみました。
起動するとこちらも以下のポップアップが表示されますので、「Oculus VR モードでOculus Riftを起動」を選択。
Project CARSもメニュー画面とレース中どちらもVRに対応していますが、特徴としてUIの操作に視線ポインターが使われています。
始めは見るだけで操作が出来るので便利かと思いましたが、決定されるまでに約3秒程見つめる必要があり、それを項目を選ぶごとに使っているとかなり時間がかかり、正直あまり実用的では無いかと思います。マウスで操作した方が数段速く操作性も良いです。
実際に走った感じですがAssetto Corsaと比較すると解像度もいくぶん良いように感じます。
現在は続編のProject CARS2も発売されていますので、いずれこちらもVRでプレイしてみたいですね。
結局PCVRレースゲームはおすすめ出来る?
今回のOculus RiftとPCVRレースゲームのレビューはいかがだったでしょうか?
私の率直な感想としては、フルHDモニターと比較すると確かに解像度不足は感じてしまうのだが、モニターでは感じ取れないコースの高低差や遠近感、そして何よりコックピットに座っているという没入感は解像度不足を補って余りある程で、VRレースゲームはこれからも続けていこうと思わせてくれました。
また今回はSteam VRのスーパーサンプリングを使わずにレビューしましたが、グラフィックボードの性能を最大限に引き出し、VRに最適化された設定にする事でより快適なVR体験が出来ると思います。
この辺についてはこれからも色々試して、良い設定が見つかればまた記事にしてみたいと思います♪
最後にOculus Riftの購入に関してですが、現在は外部センサーがなくなり、片目あたりの解像度が1080×1200から1280×1440に向上した「Oculus Rift S」が発売されています。
さらにレンズ部分にも改良がされており、色が明るく鮮やかになり、網目模様が目立ってしまういわゆるスクリーンドア効果も軽減されています。
ただ名前でもわかる通り今回はアップグレード版という性能に留まっており、現状でOculus Riftを所有している方がわざわざ買い替える程ではないかなと思っています。(個人的にはリフレッシュレートが80Hzにダウングレードしている点も気になります。)
ただしこれから新しくVRを始めるという方は、あえて「Oculus Rift」選ぶメリットは少ないので素直に「Oculus Rift S」を購入する方が良いですね♪
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