DPVR E4 vs Meta Quest 2レースゲームに最適なHMDはどちら?

レースゲームの映像にリアルを追求するとトリプルモニターやウルトラワイドモニターなど、様々な方法がありますが、それらを実際に体験して感じた事は没入感という点ではやはりVRが圧倒的だと思います。

そこで今回は今まで使ってきたスタンドアローン型の「Meta Quest2」から、PCVR専用機である「DPVR E4」に買い替えると、レースゲームではどのような体験の違いがあるのかを私なりにレビューしていきたいと思います!

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DPVR E4の付属品と装着感をチェック

先ずは今回購入したDPVR E4の内容物ですが、DPVR E4本体、DP1.4ケーブル、電源アダプター、コントローラー2個、マニュアルと非常にシンプルな内容です。

DPVR E4本体はヘッドセットのみであれば285gと他のHMDと比較して非常に軽量となっており、フェイスパット、額、側面、後頭部の各パットとゴムベルトはいずれも取り外しが可能で、手入れも簡単に行える仕様となっています。

コントローラーについてはレースゲームの場合あまり使う機会がないのですが、形状はQuest2に非常に似ておりトラッキング性能も通常使用では特に問題を感じる事はありませんでした。

但しDPVR E4のコントローラーボタンにはタッチセンサーが搭載されていないので、プレイするゲームによっては不便に感じてしまう場合があるのでそこは注意が必要です。

次に装着感についてですが、ヘッドセット本体重量が503gのQuest2と比較してフロントにかかる重量がかなり少なく、多少ストラップを強めに締めれば長時間装着していても前へずれ落ちる事もないので、カウンターウエイト等の対策をしなくても快適な装着が可能です。

さらに顔面圧迫が無いHalo型のストラップは90°のフリップアップが可能で、最近ではMR機能が注目されていますが、現時点では外部カメラの解像度は十分とは言えず、頻繁にVRゴーグルを付け外しする方にはこちらの方が使い勝手は良いと思いますし、私自身もDPVR E4に買い替えてから付け外しする機会がだいぶ減りました。

この様に付け心地や使い勝手も良いDPVR E4ですが気になる部分もあり、それは本体ケーブルとDPケーブルを繋ぐアダプターが少々煩わしいという点です。

このアダプター部分には3.5mmのヘッドホンジャックも備わっており、おそらくHMD本体の重量を軽くする為にこのような仕様にされているかと思いますが、そのままでは首を動かすたびに後方へ引っ張られてしまう。

対策としては付属のケーブルクリップで服に固定させるか、私の場合はバケットシートのシートベルトホールへケーブルを逃がす事で煩わしさを回避するなど、多少の工夫は必要かと思います。

ちなみに今回私が購入したDPVR E4はHMD本体に廃熱口が無い初期モデルなのですが、DPVRさんに確認したところ国内で販売された最初の100台のみが穴が無い仕様との事で、その後南ヨーロッパのようなエアコンがない国々での過熱リスクに対応する為、現在では廃熱口が備わったモデルに仕様変更されたようです。

また廃熱口が無いモデルでも日本での使用では問題無いという回答でしたので、この点については後程実際に使用して検証してみたいと思います。

PCへの接続はシンプルで機能も必要最低限

PCVRを利用する場合のネックの一つに設定の複雑さがあると思います。

私自身もQuest2では出来る限り性能を引き出すために色々と設定を煮詰めてきましたが、その設定を見極めるにはそれなりの時間と労力が必要でした。

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一方DPVR E4の接続方法は非常にシンプルで基本的にはDPVR公式ページのDPVRアシスタント4をインストールし、セットアップはUSBとDPケーブルをPCに接続後、リフレッシュレート(72Hz・90Hz・120Hz)を選択し、ルームセットアップだけ行えばSteamVR経由でプレイ可能です。

さらに面倒なアカウントの作成も必要無く、設定もDPVR E4側では必要最低限の項目しかないのでPCに不慣れな方でも比較的簡単に始められると思います。

またQuest2ではUSB接続の「Quest Link」にてPC接続時、たまにUSBが認識しなかったり途中で接続が途切れたりと不安定な部分もありましたが、DPVR E4はシンプルな設定が故に接続の安定性も高く感じソフトウェアの面でも好印象が持てました。

レンズスペックとDPケーブルによる劣化の無い映像

次は最も気になっているであろうレンズスペックとDPケーブル接続によるDPVR E4の映像について見てみましょう。

使用するPCスペックはCPUにCore i7-8700k、GPUはGeForce RTX 3070 8GB、メモリにはDDR4 32GB、いずれもオーバークロックなどはせず定格にてテストしています。

レンズにはフレネルレンズを採用しており、解像度は3664×1920(片目あたり1832×1920の2レンズに相当)のLCDパネルが1つ、リフレッシュレートは120HzとMeta Quest2のレンズと同じ仕様ですが、視野角が116°と非公式の数値ですがQuest2の97°より若干広くレンズ自体も少し大きいです。

DPVR E4のフレネルレンズ

スイートスポット(ピントが合う範囲)についてはQuest2と比較して広く感じ、本体の軽さも相まって途中でVRゴーグルのズレを調整する事が無くなったのがかなり快適に感じます。

またレンズは固定式でIPDはソフトウェア側でのみ調整となっており、私のIPDは66cmなのですが初期値の64cmのまま使いうと多少歪みを感じましたが、ピントが合わないやVR酔いする事はありませんでした。

ただIPDは人それぞれ違いますし、酔いについてもおそらく私はVR酔いに対する耐性は強い方なのでよいですが、理想はレンズ自体を動かせる構造なので、ここは軽量化とトレードオフかと思います。

そして映像についてはDPVR E4のレンズの性能を引き出すために、SteamVR側で片目あたりの解像度を200%(2544×2544)に設定しレンズ越しの映像をスマホで撮影してみました。

レンズの歪みを補正するためVR映像はあらかじめ歪んだ映像で描画されており、解像度を1.4倍にすると中心ピクセルがおおよそ1対1ぐらいになるとされています。

レンズの特性上、映像全体にピントを合わせるのが難しく周辺がぼやけていますが、画像はダッシュメーターにピントが合っている状態で、この部分が実際に見えているイメージに近いかと思います。

ダッシュメーターの細かな文字までしっかり確認出来る非常に鮮明な映像で、プレイしている最中はVR映像で良く言われるスクリーンドア効果(網目越しにディスプレイをみているような現象)を感じる事はありませんでした。

ちなみにSteamVRのレンダリング解像度の設定では150%(2204×2204)が推奨されていたので、こちらも試してみましたが150%でも十分鮮明な映像で、静止画像で拡大すると違いが分かる程度の違いでした。

奥の看板の文字(YOKOHAMA、AU、KDDI)が200%の方が若干ボケが少なく見えます。

Quest2の映像も設定を突き詰めればかなりきれいな映像を映し出す事は可能でしたが、DPケーブルによる圧縮されない映像と比較すると、同じ解像度でも一段階鮮明さが上がった印象を受け、接続方式による超えられない映像劣化の壁はあると言わざるを得ないですね。

120 Hzリフレッシュレートによる体験の違い

リフレッシュレートについてはDPVR E4とQuest2どちらも最大120Hzまで対応しており、もちろん数値が高い方がより滑らかな映像体験となる。

そこで試しにSteamVRで解像度を100%(1800×1800)まで落とし、フレームレートを安定して120fps出せる環境で実際に映像を見比べてみました。

120Hzのリフレッシュレートを体験して感じたことは、90Hzと120Hzを見比べてもプレイに集中していると違いが分からない、というのが私の正直な感想です。

もちろん感じ方は人それぞれですし、中には90Hzと120Hzでは全然滑らかさが違うという方もいるかと思いますが、私の場合は120Hzによる恩恵よりも解像度を落とす事によって失われる鮮明さの方がデメリットに感じました。

ではQuest2とDPVR E4ではフレームレートの体験の違いは無いと言うと、実はそうではありませんでした。

これは私のPC環境の問題かもしれませんが、Quest2でiRacingをプレイするとグラボの不可に余裕があるにもかかわらず一定間隔で映像が一瞬カクつく症状に悩まされていましたが、DPVR E4の場合それが全く発生しないのです。

この症状はCPU性能がボトルネックになっている、DPケーブル接続により転送帯域が増加した、USB接続の場合圧縮と解凍を行う余計な負荷がかかっていた、など様々な要因があると思いますが、いずれにしてもDPVR E4の方が快適な体験となりました。

DPVR E4の発熱による影響はあるのか?

最後は冒頭でも説明していたHMD本体の発熱についても検証していきたいと思います。

結論から言うとPCに長時間接続された状態だと確かに本体前面が少し熱くなり、ファンも回り続ける事でノイズも発生しますが、それによって映像の乱れやトラッキングエラー、熱がこもる事でレンズが曇ったりなどの症状は一度も発生しませんでした。

もちろんまだ購入して日が浅いので十分なテストとは言えませんが、この記事を書き始めて1週間程毎日2、3時間は起動していますので、ある程度の負荷がかかった検証にはなっていると思いますし、それ以上にDPVR E4には快適性を感じているので、私としてはこの程度の発熱であれば許容範囲ですね。

またDPVR E4はPCに接続されていると常に電源がオンになっており、これによってファンが作動し続けるのですが、その点はDPVRさんも認識しているようで、設定には今後「ヘッドセットスリープ」機能がアップデート待ちとなっている。

発売から4年程経過したQuest2と比較すると確かにまだ未完成な部分もありますが、この辺は今後の期待も込めて私はDPVR E4を使い続けていきたいと思います!

おわりに

今回のDPVR E4のレビューはいかがだったでしょうか?

DP接続によるケーブルの煩わしさと引き換えに得た鮮明な映像と、IPD調整機能などを省き軽量化を重視した快適な装着感は、シートに座り動き回らないレースゲームユーザーには最適解の一つだと思いますし、Quest2からの買い替えでも十分メリットを感じる事が出来ました。

また設計やスペックなど現在のハイエンドVR機器と比較すると見劣りする部分もありますが、その分リーズナブルな価格で購入出来るので、これからVRでレースゲームを始めようと考えている初心者の方にもおすすめ出来るVR機器ではないかと思います!

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